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映画「マトリックス」の世界が現実化してしまうかもしれません。人間の体液を使った蓄電素子が開発されています。
信州大学繊維学部の杉本渉教授が開発したのは、生物の体液の成分を用いることでこれまでの蓄電池で使われていた硫酸や有機溶媒を使わず生物の体内で安全に電気を蓄えることのできる蓄電素子「バイオスーパーキャパシタ」。
これまでの蓄電池には自動車などに積まれる鉛蓄電池(いわゆる「バッテリー」です)、近年ではリチウムイオン蓄電池などがありますが、それぞれ硫酸や可燃性の有機溶媒を用いているため、人体内での使用は非常に危険で困難とされてきました。
しかし杉本教授は2003年に「酸化ルテニウムナノシート」を開発し、これで覆ったチタン製の棒を電極にして実験し、酢酸と酢酸塩を含む溶液とを組み合わせて硫酸以上の蓄電性能を確認。さらに人間の体液と同じ塩分濃度の生理食塩水を用いても蓄電できることを発見しました。
本来は筋肉などの運動を電気に変える発電機と連動させるなどして、心臓ペースメーカーや体内植え込み型除細動器(ICD)用の電池として開発されてきましたが、「血液や唾液、尿といった体液を利用して、人体を『蓄電池化』することも理論的には可能」としており、生命活動を電気化して人体に蓄電するという、まさにマトリックスの世界そのままの技術まで行き着く可能性もあります。
もちろん機械に支配されなかったとしても、「電脳」や「義体」などのギミックの開発に際し、体内で発電、蓄電ができれば実現に向けての大きな一歩になりそうです。ウェアラブルデバイスの植え込み化など、さらに未来の技術が身近なものになるかもしれません。
体液を使った蓄電素子開発 信大繊維学部・杉本教授|信濃毎日新聞[信毎web]
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