アンドロイドが電気羊の夢を見るかどうかは人類の長年の疑問でしたが、Googleの画像認識機能を持つ人工神経回路網がシュールかつサイケデリックな夢を見ることが明らかになりました。詳細は以下から。
Googleがサーバーの人工神経回路網(ニューラルネットワーク)に画像認識のトレーニングを行ってゆく中で、この神経回路の見るとんでもなくシュールでサイケデリックな「夢」が公開されました。いったいどういうことなのでしょうか?
Googleのソフトウェアエンジニアのチームはサーバーの画像認識機能に数百万というサンプルを用い、望むような分類を行うようトレーニングを繰り返していました。その際には10から30のレイヤーが順に画像を認識し、次のレイヤーに受渡していきます。
例えば最初のレイヤーはオブジェクトの輪郭や角などを認識し、中間のレイヤーは全体的な形や構成要素を探すために基本的な特徴を解釈し判断。その解釈と判断が繰り返され、最終レイヤーが「回答」を示すことになります。このプロセスはFacebookの画像の顔認識機能を考えると理解しやすいかもしれません。
ここでチームはこのプロセスを反転させます。例えばランダムなノイズに「バナナ」の画像を検出するように前もって制約を課してバナナの基本的な特徴から画像を導き出させるとこんな画像になります。
他にも蟻や計量カップ、パラシュートなどを出力させるとこんな感じになります。例えばフォークであれば、2本から4本の歯を持っていますが、形やサイズ、色などは様々なので、そうした要素の要否をトレーニングするのですが、この反転したプロセスではトレーニングの成果を画像として可視化できることになります。
ただしもちろん学習の失敗も起こり、このダンベルの画像ではなぜか「ダンベルを持ち上げるアスリートの腕」もがダンベルの構成要素として認識されてしまっています。これはかなりシュール。
こうしたプロセスを例えば雲の画像に適用するとこんなことに。動物の認識に特化したトレーニングを行った人工神経回路網を用いたため、駱駝鳥や豚蝸牛、犬魚などの不思議なキメラが空のパターンの中に浮かび上がってきています。
もちろん空だけでなく、地平線や木、葉っぱなどの画像にこの反転プロセスを適用すると謎の塔や寺院、鳥などが現れてきてしまいます。チームではこの技術を「Inceptionism」と呼ぶことにしています。そしてこうしたプロセスを反復して行っていくとどうなるのか。こんなにもシュールかつサイケデリックな絵画が誕生してしまいます。
特に以下の「作品」はランダムノイズから人工神経回路網が紡ぎだしたもの。ヴィジョナリーアートやサイケデリックアートを思わせるような色彩と形状の洪水。これはまさに人工神経回路網の見る「夢」と呼べるのではないでしょうか。
これ以外の「作品」及び大きなサイズの画像は以下のギャラリーから閲覧可能。とんでもないことになっています。
Michael Tyka さんの写真 - Google フォト
芸術は人間だけのものではなくなるのかもしれません。
Research Blog Inceptionism Going Deeper into Neural Networks
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