HIV予防薬ツルバダに「100%の予防効果」があったとの研究報告

Photo by Jeffrey Beall

毎日服用することでHIVへの感染を予防する薬ツルバダに関し、「100%の予防効果があった」との報告が行われました。詳細は以下から。

HIVに感染していない人が感染予防のために経口の抗レトロウイルス薬を毎日服用することをPrEP(曝露前予防)と呼び、そのために使われている薬品が「ツルバダ(Turuvada)」です。

このPrEPは2014年にアメリカ合衆国のCDC(米疾病予防管理センター)がHIVウィルスへの暴露リスクの高い未感染者に対して「予防の選択肢のひとつ」として実施を推奨したものとして知られています。

米CDCが新ガイドラインでPrEP(曝露前予防)を推奨 エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジェクト ウェブリブログ

このツルバダという薬は2012年に認可されて90%以上の高い予防効果があるとされていましたが、600人を超える使用者に対して3年半を超える調査を行ったところ、新たなHIV感染者がひとりもでていないことが報告されました。

カイザー・パーマネンテ・サンフランシスコ医療センターのJonathan Volk氏らの研究チームはツルバダを服用している657人の、ほぼ全員がゲイもしくはバイセクシャル男性を32ヶ月間にわたって調査。

被験者らの周囲の性感染症への感染率は高く、静脈注射での薬物使用やコンドームの不使用などの高リスクの行動も見られていました。しかし、クラミジアや淋病、梅毒への感染は発生したものの、HIVへの感染は1例も見られなかったとのことです。

ここで注意が必要なのは、一時期夢の予防薬のように考えられたこともあったPrEPという予防法ですが、HIV以外の性感染症は予防できず、今回の調査でもクラミジアや淋病、梅毒などへの感染が報告されています。

つまり、例えツルバダを用いたPrEPが100%HIV感染を予防することがあったとしても、コンドームの使用などのセーフセックスへの意識がなければそれ以外の原因で健康を損なう可能性が十分にあるということ。すべての人にとっての理想的な解決法とは言えないことがこれまでも繰り返し強調されてきました。

また今回の報告は、無作為化臨床試験としてプラシーボを用いた対照グループが用いられていないことからも科学的な厳密性を欠いているとの指摘もあり、また被験者が毎日投薬したかの確認もできていないなどの問題もあります。

Volk氏によるとあくまでセーフセックスのための有効なひとつの選択肢として考え、コンドームや頻繁な性病検査との組み合わせが望ましいとのことです。

New Study Suggests HIV-Prevention Pill May Be 100% Effective IFLScience

(Photo by Jeffrey Beall


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