本日未明に行われた発表会で12.9インチの巨大液晶を採用した「iPad Pro」をお披露目したApple。しかしその一方で、とても気になることがあります。詳細は以下から。
◆Apple初の試みとなる「iPad Pro」
これが今回発表されたiPad Pro。12.9インチ、560万画素(2732×2048)のRetinaディスプレイを備えています。
iPad Proはディスプレイに同社初となる「可変リフレッシュレート」を採用。スクリーンに映るコンテンツがいつ静止しているかを感知し、一秒に60回のリフレッシュレートを30回に下げることで、消費電力を抑えることができます。
搭載しているプロセッサ「Apple A9X」はiPad Air 2と比べてCPUが1.8倍、GPUでは2倍のパフォーマンスを実現。
さらにデータの読み書き速度を向上させる、改良されたストレージコントローラーを搭載。HDカメラからRAW画像をあっという間に読み込めるほか、4Kビデオのマルチストリーム編集までこなすとしています。
そしてiPad Proになくてはならないものが別売で提供される「Apple Pencil」。
圧力センサーと傾斜センサーを用いることで、筆圧を強めたり、持つ角度を変えたタイミングを瞬時に認識。iPad ProがApple Pencilを感知すると、サブシステムがシグナルを1秒間に240回の速さでスキャン。これにより描いたものがわずか数ミリ秒で画面に現れます。
Apple Pencilはれっきとしたデバイスで、マグネット式キャップを外すと現れるLightningコネクタをiPad Proに差し込み、充電が必要。フル充電すれば12時間描き続けられます。
iPad Proの登場で、今後はiPad Air、iPad miniの3モデル展開となります。
◆初めて進化が止まったiPad
このように、新たなサイズを展開したことで、iPadシリーズのテコ入れを図ったかに見えるApple。しかし実は今回、初代iPadが発売された2010年以来、初めて9.7インチiPadの新モデルが発表されない事態となりました。
9.7インチモデルは長らくiPadシリーズの「顔」的存在で、毎年必ず最新機能やプロセッサを盛り込んだ新モデルが発売されており、2012年に至っては春と秋に1モデルずつ発売されたほどでしたが、昨年発売された「iPad Air 2」の後継機種は今回発表されていません。
◆iPad miniようやく刷新も1世代前の性能に
7.9インチ液晶採用の「iPad mini」シリーズについては、前モデルと性能が変わらなかったiPad mini 3の時とは異なり、性能が刷新された「iPad mini 4」が発表されましたが……
しかしプロセッサはiPad Air 2同様、1世代前のApple A8シリーズ。今まで最先端をひた走っていた9.7インチiPadが進化を止めたことで、iPad Proのみが最新プロセッサを採用する形となっています。
◆背景にiPadの不振、大型化はカニバリズムを避けるため?
このように、iPad Proが新たに発売された一方で、iPadやiPad miniの進化が止まるなど、気になる動きを見せているiPadシリーズ。このような事態となった背景には、おそらく昨年から続くiPadの出荷台数減が大きく影響しているとみられます。
ニュース - [データは語る]今年の「iPad」出荷台数は30%減、昨年を上回る落ち込みとの予測:ITpro
iPad、初の年間出荷台数減少へ。タブレット市場全体の成長も鈍化(IDC調べ) | TechCrunch Japan
iPadの出荷台数が減少した理由については、OSのアップデートが手厚く、買い換えサイクルがiPhoneほど短くないことなどが挙げられていますが、「大画面化したスマホに需要を奪われたのでは」という見方もあるのが現状。
iPhone 6 Plusなどと需要の食い合いが発生しているおそれがあるiPadやiPad miniより、大きさのまったく異なるiPad Proに注力した結果とみられる今回のラインナップ。どうやらiPadシリーズに大きな転機が訪れていると考えて良さそうです。
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