フランスが大型スーパーマーケットでの食品廃棄を禁止、「フードバンク」への寄付を義務付ける

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Photo by Diego Sevilla Ruiz

フランスが世界で初めての試みに着手しました。しかしこの試みは単に「食品の無駄を減らす」だけのものではありません。詳細は以下から。

◆フランスの世界初の試み
フランスでこの度、床面積400平方メートルを超えるスーパーマーケットが食品を廃棄することを世界で初めて禁止しました。その代わりにスーパーマーケットはフードバンクなどの慈善事業に対し、それらの食品を寄付する契約を結ぶ義務を負います。違反した場合、経営者は75000ユーロ(約1000万円)以下の罰金か2年の禁錮刑に処せられます。

また、今後フランスのスーパーマーケットでは廃棄される賞味期限切れ寸前の食品を漂白剤につけて食べられないように処理したり、鍵の掛かった倉庫にしまい込むなどしてホームレスなどが回収して食べるのを妨げることも禁じられるとのこと。

◆フードバンクってなに?企業や行政にメリットはあるの?
ここで注目すべきはフードバンクという日本ではまだ耳慣れない存在です。フードバンクは日本語では「食料銀行」と訳される非営利組織で、品質に問題がなくとも市場で流通できない「ワケあり」商品を企業からの寄付で受け取り、生活困窮者やホームレス、そして支援組織などに配布する活動を行っています。

食品を扱う企業が商品を寄付してしまうのは利益を減じてしまうのではないかと思いがちですが、食品を廃棄するにも当然廃棄コストがかかります。ゴミの分別やリサイクルなどには手間も時間もかかるため、輸送費だけで済むフードバンクは企業側としてもメリットになります。

また、行政側としても食品ゴミを抑制できて環境負荷を減らせる他、生活困窮者らへの食糧支援が行われることで生活保護とは別のセーフティネットとしても機能し、格差・貧困という先進国の多くに蔓延する問題への食という根源的なニーズに基づいたアシストになると言えます。

もちろんフードバンクは賞味期限の切れた食品などは衛生・安全上の問題から扱っておらず、こうした廃棄食品によって健康問題が起こる可能性に対しても厳密に対応しています。

◆貧困問題と食の問題
今回のフランスの法律では、スーパーマーケットの廃棄食品を通じて以前よりも野菜や果物といった生鮮食品がよりフードバンクを通じた支援のラインに流れこむようになり、栄養バランスが改善されることが期待されています。

恵方巻き大量廃棄のニュースの直後だったこともあり、「食品の無駄を減らす」という視点から大きくクローズアップされたこのニュースですが、その根底には貧困問題が大きく横たわっていることが見て取れます。

日本でも10年以上の歴史を持ち、全国に広がりつつあるフードバンクですが、まだまだ廃棄食品と貧困問題を結びつけて考える発想は定着しているとは言えません。

食料自給率が極めて低い上に食品廃棄も多く、格差・貧困が大きな問題になっている日本でも、こうした動きはさらに盛り上げてゆく必要がありそうです。

なお、スーパーマーケットなどの商店から出る廃棄食品は全体の11%。消費者個人に寄るものが67%、レストランが15%となっており、商店やレストランだけに廃棄食品の削減を求めるわけにもいきません。消費者ひとりひとりの心構えも極めて大切ということになります。

French law forbids food waste by supermarkets World news The Guardian

(Photo by Diego Sevilla Ruiz

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