ドコモが総務省と露骨なMNP潰し、auやソフトバンクの「のりかえ割」「下取り」を槍玉に

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昨年末から続く総務省主導のMNP優遇見直しについて、ドコモがau・ソフトバンクへの「MNP潰し」とも受け取れる行動に打って出ました。詳細は以下から。

◆ドコモがau、ソフトバンクのMNP潰しに
(PDFファイル)「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」等に対する意見及び総務省の考え方


総務省の報道発表資料によると、同省が2015年12月18日に策定した「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」を踏まえ、策定を予定している「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)」について、通信事業者や個人などから寄せられたさまざまな意見が公開されています。

そしてその中で、NTTドコモはMNP利用者に対して基本使用料を一定期間割り引くau、ソフトバンクの「のりかえ割」が実質的にスマホの購入補助の役割を果たす割引であるとした上で、他の割引と併用することでスマホの本体価格を上回る、行き過ぎた割引となっていると指摘しています。

■ KDDI 殿が行っている「au にのりかえ割」やソフトバンク殿が行っている「のりかえ割」については、スマートフォンの購入が割引条件から除外されましたが、MNPによる契約を条件とした“実質的に端末購入補助の役割を果たす”割引となっており、結果として他の割引との併用によりスマートフォンの価格を上回る行き過ぎた割引となっています。(2016 年3月3日現在)
このような事例は、本ガイドラインの趣旨に反することから、スマートフォンの購入が割引の条件となっていない場合であっても、スマートフォンの購入時に適用される割引であれば、当該割引額を端末購入補助とすべきと考えます。

従って、端末購入補助の定義として、「スマートフォンの購入が条件となっていない割引であっても、その割引がMNPによる契約や携帯電話会社の変更に伴うMNPを利用しない新規契約(いわゆる解約新規)を条件として適用され、同時にスマートフォンを購入する場合は、当該割引額を端末購入補助とする」旨をガイドラインに記載いただくことを要望します。【NTTドコモ】


この意見を受け、総務省は「のりかえ割」を端末購入補助とみなすようガイドラインを修正することをコメント。スマホ本体の実質0円だけでなく、基本料割引も潰されることになりました。

■ MNPの場合にはほぼ端末購入を伴うのが現状であることから、MNPを条件とする割引等が過大となると、利用者間の不公平是正のために端末を購入する利用者に合理的な額の負担を求めるというガイドラインの目的が達成されないおそれがある。このため、端末購入を条件としていなくても、MNPを条件とする割引等(端末購入を伴わないSIMのみ契約への割引等は除く。)については端末購入補助とみなすよう本ガイドラインを修正する。
また、いわゆる「解約新規」のように実質的にMNPと同等の内容を条件として割引等が行われる場合には、本ガイドラインの運用において、MNPを条件とする割引等と同様に取り扱うこととする。


さらにドコモはauやソフトバンクが行っているスマホの下取りについて、自社製スマホを2400円ないし3000円で下取りしているのに対し、MNP利用者に対して他社製スマホを一律2万1600円で下取りしていることも槍玉に。

端末価値相当額を上回る割引額について、端末購入補助にすべきだと指摘した結果、前述の「のりかえ割」同様、総務省から端末購入補助とみなすようガイドラインを修正するという回答を得ています。

端末の引き取りを条件としたスマートフォン購入代金の割引については、端末を引き取る対価として端末価値相当額を割引くのであれば、当該割引額について端末購入補助に含まないとすることは適当であると考えます。
しかしながら、KDDI 殿やソフトバンク殿は他社の Android スマートフォンの引き取りについて、MNP による契約を条件に、端末の種類や世代に関わらず、一律 21,600 円でのスマートフォン購入代金の割引を実施しています。一方で、自社の Android スマートフォンの引き取りについては、KDDI 殿は一律 3,000 円とし、ソフトバンク殿は一部機種に限り 2,400 円としています。(2016 年3月3日現在)

これらの MNP による契約を条件にした下取りの事例は、引き取り端末の価値を明らかに上回る実質的な端末購入補助であり、本ガイドラインの趣旨に反することから、端末価値相当額を上回る割引額は端末購入補助とすべきと考えます。

従って、ガイドラインにおいてもその点を考慮し、「端末購入やMNPによる契約などを条件に旧端末の引き取りを実施する場合は、条件なく端末の引き取りを行う場合との差額について端末購入補助に含める。なお、端末購入やM
NPによる契約などを条件とした旧端末の引き取りのみ実施している場合は、割引の全額を端末購入補助に含める」旨を記載いただくことを要望します。【NTTドコモ】


◆KDDI、ソフトバンクは過度な規制に反発
なお、今回NTTドコモに槍玉に挙げられたKDDIやソフトバンクは「過度なキャッシュバックは避けるべき」という前提を崩していないものの、「端末購入補助」について過剰に範囲を拡大して解釈することや、ガイドラインで細かいところまで厳格に規定することについて反発。

柔軟なサービス提供などが損なわれ、電気通信事業者間の公正競争に与える影響が甚大であること、そして市場シェアの固定化につながることに対する懸念を表明しています。

・KDDI

携帯電話番号ポータビリティ(以下、「MNP」という。)を利用し、端末購入を行うことを条件として割引等を受ける利用者(以下、「MNP による端末購入者」という。)とその他利用者との間で負担の公平性の観点で課題が生じている旨の指摘が改めてなされたことを踏まえ、弊社としては、本年 2 月以降、スマートフォンの端末購入補助に関する見直し策を段階的に講じているところです。
他方、「MNP による端末購入者に対する電気通信役務の料金又は端末購入代金の高額な割引」等を背景に、端末購入を条件とした割引を適正化するという本ガイドラインの趣旨を踏まえれば、「端末購入補助」についてはその目的を超えて過剰に範囲を拡大して解釈すべきでないと考えます。
過剰なルールの適用により、電気通信事業者の柔軟なサービス提供やサービス革新が損われ、結果的にサービス品質の低下につながるのは勿論のこと、スマートフォンの端末販売モデルの激変が販売店や端末ベンダーをはじめとするステークホルダーや、電気通信事業者間(MNO 間、MNO と MVNO 間含む)の公正競争に与える影響も甚大です。

以上より、本ガイドラインに基づく運用は、実際の市場における端末購入補助の水準や端末流通への影響等も踏まえ、適宜柔軟に見直しを図っていくことが必要と考えます。なお、端末購入補助の水準については、個々の電気通信事業者等が実施する措置内容に拠ることから、競合他社の取組み状況等によって、弊社が実施できる措置に制約が生じる可能性がある点については事前にご理解頂きますようお願いします。


・ソフトバンク

過度なキャッシュバックはもちろん避けるべきだと考えます。ガイドラインであまり細かいところまで厳格に規定すると、マーケットシェアが固定化するのではないかと危惧します。せっかくの MNP 制度がお客様の乗り換えるハードルが高くなり、シェアが固定化すると、キャリア間の自由闊達な競争が起こりにくくなる可能性があると考えます。


◆利用者の意見無視で進むMNP潰し
そもそも「家庭の支出における携帯電話代の割合を下げる」という、安倍総理がほぼ思いつきでブチ上げた構想から始まった感の強い今回の携帯電話料金に関する議論いろいろ。

しかし10月19日(月)に総務省で開催された第1回「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」では、諸外国と比較して日本の携帯電話は決して高いわけではないという事実をまず確認するという、とてもトホホな事態となりました。



代わりの落としどころとして用意されたのが、MNP利用者と長期契約者間の不公平感の是正。なんと総務省の資料には「携帯電話料金全体の値下げという話ではない ユーザー間の行きすぎた不公平性の是正がポイント」とまで銘打たれています。


その結果、スマホの実質0円や一括0円、キャッシュバックなどが排除され、携帯電話の本体代が高くなった一方で、スマホ代特別割引が減額ないしゼロになるライトユーザー向け低容量プランが新設されただけで、期待されていた料金の値下げは起きず、ドコモが喜々としてauやソフトバンクのMNP優遇策を徹底的に潰しにかかる……という、なんとも不毛な事態となってしまったわけです。

「(総務省が求める)MNPの不公平感の是正」という錦の御旗がある以上、大っぴらに競合他社のMNP優遇策を潰しにかかることができるNTTドコモ。しかしその背景には、「自社からの流出を食い止めるために、なんとしても他社のMNP優遇策を潰したい」という思惑が見え隠れしているような気がしてなりません。

また、今回のガイドライン策定にあたり、総務省には個人から行き過ぎたキャッシュバックの是正を歓迎する声がある一方で、以下のような「なぜ携帯電話の料金だけに介入するのか」といった意見や、覆面調査まで行うことに対する嫌悪感をあらわにする声が数多く寄せられています。

『合理的な額の負担を求める』とは何をもって合理的なのか基準が不明確。そもそも長期利用者に還元するという側面から端を発するなら,光ファイバー等も新規契約に多額のキャッシュバックしているし,NHK 受信料・固定電話の基本料・電気・ガス・水道・生命保険・損害保険・学資保険...etc 長期契約しているものは多数あるが全く値下げされないサービスは携帯電話以外に存在するが,そちらは総務省が介入しないのは不公平そのものであるし何故携帯電話だけ行うのか意味不明。


さらに「携帯電話料金がむしろ上がった」と指摘する声や、「民間企業のやることに口出しして欲しくない」「あれこれ引っ掻き回す割には何の成果も得られていない感じがする」など、総務省の方針を疑問視する声、販売代理店が潰れてしまい、国内メーカーがトドメを刺されてしまうだけではないのかと危惧する声などが上がっているのが現状。

大手携帯各社でドコモだけが得するような流れができつつある気がしますが、このような状況で今までよりも自由な競争は生まれるのでしょうか。

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