法人所得総額が7年連続上昇で過去最高の63兆円、一方の法人税額は減税のため1.3%減



法人の所得が過去最高となりましたが収めた法人税は減少しています。詳細は以下から。

企業は儲かっていても、その儲けが再分配されていない現状が浮き彫りになっています。

国税庁の10月18日の発表によると、2016年度に決算期を迎え、2017年7月末までに税務申告した法人の所得総額が前年度よりも3.2%増加して1兆9388億円多い63兆4749億円となったことが分かりました。これは7年連続の上昇で、記録のある1967年度以降で最高を記録しています。

一方で法人税の税率の引き下げにより、申告法人税の総額は前年度から1.3%減少して11兆2372億円となっています。


なお、法人の申告件数は286万1千件。その中の黒字申告の割合は1.1ポイント増の33.2%で、6年連続で上昇しています。また、過去の赤字分を所得から差し引く前の単年度の業績でも、黒字法人の割合は0.4ポイント増えて57.7%となっていました。

法人所得総額が上昇し始まったのは2009年度はリーマン・ショック後の回復期ということになり、その後民主党政権から東日本大震災を経て伸び続けてきたということになります。

問題はそうした法人の利益が再分配されていないこと。2011年まで30%だった法人税率は現在23.4%にまで引き下げられており、一方の消費税は2014年に8%に引き上げられ、2019年には10%へとさらなる引き上げが待っています。

企業が元気になれば経済が回るという「神話」もありましたが、消費支出がリーマン・ショック超え15カ月連続減少で最長記録を更新したことは6月にお伝えしたとおり。

また、7月に発表された2016年度の国の一般会計決算概要でも税収総額は、前年度比8167億円減の55兆4686億円となり、7年ぶりに前年度実績を下回っています。法人税が2年連続で減少しただけでなく所得税、消費税の主要3税目がいずれも減収となっています。

先日は世帯収入の中央値が22年前のピークから122万円減となっていることもお伝えしましたが、企業の増益が税としても、働く人の収入としても還元されていない実態が浮き彫りとなっています。


10月19日には日経平均株価が21年ぶりとなる2万1500円を超える水準まで上昇していることが興奮気味に伝えられていますが、「いざなぎ超え」の景気を誰が実感しているのか、もう一度考えてみる必要がありそうです。

法人所得総額63兆円で過去最高 7年連続の上昇、税額は減少 | 2017/10/18 - 共同通信 47NEWS

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