100年前、目覚まし時計に奪われた優しい仕事「ノッカー・アップ」
多くの仕事が機械に奪われていく、そんな時代の職業のひとつでした。詳細は以下から。
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毎朝あなたはどうやって目を覚ましていますか?自然と起きられる人もいますが、携帯やスマホでアラームを掛ける人、それとは別に目覚まし時計も必須という人も多いのではないでしょうか。
ですが、そうしたアラームをセットできない時代に人々が遅刻しないように起こして回る職業が存在していました。
時は産業革命のイギリス。農村部から都市に集まり、工場で働くライフスタイルが広まっていく中で、発生する問題が今もみんなの悩みのタネである「遅刻」です。
工場で働く労働者達は始業時間までに工場に到着するために、朝の決まった時間までには起きなければなりません。しかしこの頃はまだ目覚まし時計という文明の利器は庶民には行き渡っていませんでした。
そこで登場したのが「ノッカー・アップ(knocker-up)」という職業。杖や棒でドアをノックしたり、木や竹でできた長いスティックで窓をノックして人々の目を覚まさせるのです。
ノッカー・アップは依頼主が起きるのを確認するまでその家の前を動かず、週に数ペンスを稼いでいたということ(編集部注:当時の貨幣価値についてはこちらのブログポストでシャーロック・ホームズ作品を題材に面白く紹介されています)。
このノッカー・アップは当時多くの人がプロとして従事した職業で、マンチェスターのような工業都市で特に多かったとされています。特に朝の速い高齢の男女が従事する割合が高かった他、早朝パトロールの警官がバイトとしてやっていた例もあるとのこと。
このおばあちゃんは豆鉄砲を使って起こしていたようです。
19世紀末頃から目覚まし時計が徐々に普及し、このノッカー・アップという職業は遅くとも1920年頃には消滅してしまいました。
今もホテルのモーニングコールなどにうっすらと名残を残す「人を起こす仕事」ですが、機械が人間の仕事を奪っていった初期の例のひとつと言えそうです。便利さが極まってゆく中で、別の付加価値を求めてこうした仕事が復活することはあるのでしょうか?
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