ファーウェイの5Gをアメリカが必死に排除する理由、国防総省のレポートから明らかに

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今年5月にHuaweiを自国にとって好ましくない存在の一覧「エンティティリスト」に加え、同社製品の排除に躍起なアメリカ。

「ファイブアイズ」と呼ばれる同盟国や日本などに対しても5G基地局インフラなどに同社製品を使わないよう働きかけており、先日日本政府も「ファーウェイの5G基地局を使わなければ減税」という優遇措置を携帯各社に打ち出しました。

ここまで徹底して排除を進める背景はどこにあるのか、アメリカ国防総省のレポートが分かりやすく解説していました。詳細は以下から。

◆10年で飛躍的に伸びたHuaweiを警戒、アメリカ国防総省レポートににじむ危機感
まず見てもらいたいのが、アメリカ国防総省が4月にまとめた「THE 5G ECOSYSTEM:RISKS & OPPORTUNITIES FOR DoD」というレポート。


これは日本でもまもなくサービスインされる次世代携帯電話サービス「5G」について、アメリカが国防の観点から分析したもの。

レポートでは過去10年でHuaweiの年間売上高が280億ドル(2009年)から1070億ドル(2018年)に伸びた一方で、基地局設備大手のEricssonは279億ドルから239億ドルに、Nokiaは576億ドルから266億ドルに減少したことを指摘。

基地局インフラや通信端末をトータルで手がけるHuaweiやZTE以外にも、Xiaomi、Vivo、Oppoといったスマホメーカーが世界シェア上位に躍り出るなど、中国の存在感が急速に拡大する通信市場を解説しています。

このレポートがまとめられた翌月にHuaweiがエンティティリスト入りしたことからも分かるとおり、アメリカはHuaweiを国防に関わるレベルでの重大な脅威と認識していることが分かります。

◆5G向け周波数は「Sub-6」「mmWave(ミリ波)」の2種類
また、5Gの動向に関する主要なトピックとして、用いられる周波数帯が「Sub-6」「mmWave」の2種類あると解説。

Sub-6は6GHz以下の周波数帯を用い、mmWaveは「ミリ波」と呼ばれる24GHz~100GHz帯を採用。Huaweiなど中国勢は前者、アメリカは後者を推進しています。


◆エリア整備コストが段違いのSub-6とミリ波
Sub-6とmmWaveの2つの周波数帯で展開される5G。一般的に電波は周波数が高ければ高いほどデータ通信に利用できる帯域が広く、より高速で大容量の通信を利用できますが、一方で建物の中に弱く、移動中に通信が途切れやすくなります。

分かりやすい例がかつて話題となったプラチナバンド(700MHz~900MHz)と2.1GHz帯との違い。低い周波数帯であればあるほど、建物や地下に強くなるわけです。


驚くべきがこちらの図。赤は1Gbps以上、青は100Mbps程度で通信できる箇所ですが、mmWaveで整備したエリア(左)とSub-6で整備したエリア(右)に圧倒的な違いがあることが分かります。


もしmmWaveでアメリカの人口の72%に100Mbpsの通信サービスを提供する場合、約1300万台の電柱取り付け型基地局と4000億ドルを投じる必要があるとのこと。

一方、Sub-6はカバーエリアが広いほか、既存の3G、4G基地局とアンテナなどの設備をある程度共用できるため、整備コストは段違いです。

◆アメリカがミリ波を推進せざるを得ない理由
中国勢が推進するSub-6のほうが現実解ではないか……と思わざるを得ない5Gの周波数帯。しかしアメリカにはmmWaveを推進せざるを得ない、現実的な問題があります。

それが世界各国の電波の割り当て状況。Sub-6の主要な周波数帯に3.4~3.6GHz帯があり、日本でも携帯各社への割り当てが行われました。しかしアメリカはそれらの大部分を政府機関に割り当て済みのため、Sub-6では満足なパフォーマンスを得られません。


もちろん上記の帯域を空けることもできますが、そのためには混信を避けるため既存の通信設備をリプレースする必要があり、膨大な費用と移行期間が発生します。

そのためアメリカはmmWaveを推進せざるを得ず、この点について国防総省は「アメリカがガラパゴス化しかねない」と危機感をあらわにしています。

◆"Huawei排除"で足並みがそろうとは限らない
アメリカの焦りをよそに、従来の基地局資産を活用しやすく、基地局1台あたりのカバーエリアも広い(=移動中でも通信が途切れにくい、建物の中でも使いやすい)Sub-6に対応した安価な5Gインフラの研究開発や各国への売り込みを進めるHuawei。

今年7月に行われたカンファレンスでは自社の5G基地局の優位性を以下のように述べています。

ファーウェイの5G基地局は4G基地局より20倍も性能が優れています。こうした性能向上を実現する一方で、5G基地局の軽量化・小型化に成功し、お客様の5G展開コストを大幅に低減しています。そのため、ファーウェイの5G基地局はスタッフ2人がわずか2時間で設置することができます。これは4G基地局と比べると約半分の設置時間です。

実際のところ今までを大きく上回る数の基地局が必要な5Gネットワークの整備コストは重く、アメリカによるエンティティリスト入りやファイブアイズへの呼びかけにもかかわらず、ドイツやイギリスは一部でHuawei製の機器を採用することに。

Huaweiを事実上排除すると決めた日本では人口密集地にmmWave、地方などでSub-6を使った5Gネットワークを構築しますが、地方でKDDIとソフトバンクが共同整備を進めることが今年7月に決定済み。「(ドコモや楽天などの)他社が加わる余地もある」としています。

主要先進国ですらコスト負担が重く、Huawei製インフラの導入やキャリアの枠を超えた共同整備が進む5G。

途上国や新興国がアメリカの思い通りに排除を進めてくれるとも思えず、そう遠くないうちに趨勢が決まりかねません。

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