セクシャルマイノリティが「身近にいる」事は厳然たる事実。それを「子供には分からない」と覆い隠す事は正しいのでしょうか。詳細は以下から。
◆小学生に「この中にも同性愛者がいる」発言が問題視
滋賀県大津市立小で11月に実施されたいじめ防止授業で、登壇した女性弁護士のセクシャルマイノリティに関する発言が問題視されていることを共同通信社が報じています。
それによると、女性弁護士は高学年の児童約240人の前で「100人に1人が同性愛者なので、この中にもいる」と発言していました。なおこの講演のテーマは「いじめと人権」とのこと。
共同通信によると、これに対して学校は「発言が当事者探しを誘発し、いじめを助長する懸念がある」として保護者に文書で説明する予定とのこと。
また女性弁護士も所属する滋賀弁護士会の竹下育男副会長は「配慮を欠いた発言だった。性の多様性は小学生には簡単に理解しにくい。説明が不十分なまま『身近にいる』と発言したのは問題だ」としています。
◆実際には「100人に1人」以上のセクシャルマイノリティが存在
まず大切なのは、この女性弁護士は何も間違ったことを語っていないということ。日本でのセクシャルマイノリティの割合は調査によって1.6%から8.9%とばらつきがあり、「100人に1人」はこの中でも最も低い割合です。
そう考えるとクラスに1人、学年に数人いてもおかしくない割合であり、日本の人口から考えると201万人~1121万人がセクシャルマイノリティという計算になります。これは最低でも札幌市から名古屋市程度の規模となり、最大ならば東京23区の人口よりも多い事になります。
また自らのセクシャリティを自覚する時期については個々人によって大きなばらつきがありますが、当然その中には小学生時代に何らかの気付きを得る人もいます。そうした人にとってはこの時期から情報を得ることは極めて有用な話。
また「いじめと人権」をテーマに講演をしていることを考えれば、問題は発言自体よりもこの学校が「発言が当事者探しを誘発し、いじめを助長する懸念がある」状態ということになります。まずこの学校が改善すべきは自校のいじめの実態でしょう。
◆歪んだイメージを吸収する前の教育
高度情報化社会の現代日本では、学校が教えなくてもSNSをはじめとするネット上で子供たちは情報を取得してゆくもの。
少し話はズレますが、性教育をしっかり行わなかった結果として(あくまでエンターテインメントである)アダルトビデオなどで得た知識を本物の性知識と勘違いして性行為に及ぶ若者が増えている事が指摘されています。
さすがに今後「保毛尾田保毛男」のような同性愛差別のコンテンツは出てこないと思われますが、セクシャルマイノリティへの偏ったイメージを吸収する前に正規の教育を行う事は極めて重要。
現代日本では東京レインボープライドが毎年大きな話題となるなど、セクシャルマイノリティに対する理解は少なからず前進しています。今さら教育が及び腰で臨む必要はないはずです。
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