こんな家にひとりでこもって暮らしたい。ネット上でたまたまこの家の画像を見つけてそんな風に思った人も少なくないはず。
ですが実際のところ、この家はどこにあるどんな家で誰が住んでいるのでしょうか?詳細は以下から。
ネット上には「ネットミーム」として広く知られ、ネタに使われる画像がたくさんあります。例えばこの「リラックス猫」ものそのひとつ。
こうしたネットミームは数限りありませんが、かなり昔から有名なのがこちらの「世界一孤独な家」。寒々とした孤島の草原にぽつんとひとつだけ建つ家。背後には雪を頂く壮大な山が広がっています。
(Photo by Wikimedia comons)
確かに「世界一孤独な家」と呼ぶにふさわしい家ですが、どこにあるのか、誰の家なのかなど詳細を知らないままにネット上で遭遇したことのある人も多いのではないでしょうか。
種明かしをすると、この家があるのはアイスランドの南側、本島から10kmほどに浮かぶヴェストマン諸島の北東にあるEllidaey島という0.4平方キロメートルほどの小さな島。アイスランドを代表する野鳥パフィンの生息地ですが、1930年以降に定住している人はいません。
なおヴェストマン諸島へはアイスランドの誇る有名な裏見の滝、セリャラントスフォスの滝からほど近い港から渡ることができます。
当然ながら、この有名なネットミームには様々な噂が存在しています。とあるビジネスマンがシェルターとして建設したというものや、怪しいカルトが所有しているというものも。
極めつけは、ここがアイスランドの歌姫ビョークの所有する家で、島の権利も取得しようとしているというもの。言いたいことは確かに分かりますし、ビョークらしいエピソードにも確かに聞こえます。
ですが、もちろんこれらはいずれも単なる根も葉もない噂。実際のところは、この建物はElliðaey狩猟組合が1950年代に建てた狩猟用ロッジでした。
アイスランドではパフィンは狩猟の対象となっており、パフィンを使ったジビエ料理なども存在します。猟師たちがこの島にパフィンを狩りに来た時にこの小屋を利用しているということです。
こちらが2017年に実際にこの「世界一孤独な家」を訪れている動画です。プロパンガスを持ち込んでBBQとしゃれ込んでいる様子が見られます。家の様子は7:05頃からですが島への上陸の様子なども含めてかなり興味深いものです。
この家には電気や水道などはありませんが、雨水を貯めて利用するサウナはあるということ。長く住むのは難しそうですが、1泊くらいならありかもしれません。
なお、このEllidaey島のお隣のBjarnarey島のただひとつの建物であるBjarnareyロッジに宿泊するツアーは存在していますが、Elliðaey島を訪れられるかは不明。とはいえ、この島も相当すごい孤独っぷりであることは間違いありません。
ひとまずお隣の島ということで、このツアーに参加すればあの「世界一孤独な家」の写真を撮影することはできそうです。
最後に、ビョーク絡みの噂が流れた真相は、2000年のアイスランド首相のスピーチとのこと。国有地となっていたEllidaey島を、ビョークになら無料で家を建てて住んでもらっても構わないと発言したというお話に尾ひれがついたものの模様。
そのスピーチもビョークがこの島を買うことに興味を持っているという噂をもとにしたものとのことなので、実は完全に根も葉もない噂ではなかったということになります。
アイスランド自体、以前Buzzap!でも現地レポートを行ったように非常に美しい場所です。観光を考えているならここまで気合で足を延ばしてみてもよいかもしれません。
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