スポーツで完全に息の合った動きをするアスリートたちの姿、その時に脳はチームメイトとシンクロしていました。詳細は以下から。
ジャーナル「eNeuro」に発表された新たな研究によると、同じゴールに向かって進む集団は「チーム・フロー」という状態になり、それぞれの脳がシンクロすることが分かりました。
これまでも特定のタスクに関連した強烈な注意力、自動的に身体が動く、物事をコントロールしている感覚、周囲の雑音が消えるといった「フロー状態」という意識のあり方が指摘されてきました。
スポーツなどの試合や音楽の演奏、試験といった強く集中する場面でこうした状態を経験した人も少なくないのではないでしょうか。
今回の研究では、このフロー状態が個人の内部だけでなく、他の人とシンクロして発生することが示されています。
研究では10組のペアにiPadでビートマニア系の音楽ゲームをプレイしてもらいながら、脳波記録法(EEG)でふたりの脳波を測定します。
ある場合ではペアは協力してプレイでき、別の場合はスクリーンで隔てられ、個人のフロー状態には入れてもチーム・フローには至れません。また別の場合には一緒に協力プレイできるものの、音楽がごちゃまぜにされていたためフロー状態に入れなくなっています。
この結果を分析したところ、チーム・フローの状態にある時に脳はユニークな活動パターンを見せ、特に中側頭皮質のベータ波とガンマ波が増加することが分かりました。ベータ波とガンマ波は注意や記憶、認識といった認知機能に関係しています。
また研究者らによると「チーム・フローは脳と脳の間の情報統合を高め、神経を同調させる」とのこと。これによって、実験でペアの脳は音楽のリズムを共有する中で連携していったとしています。
このようにチーム・フローは、チームのメンバーらの間に超認知的状態を作り出しますが、これは意識を変性させたりチームの意識を共有させるものではないとしています。スポーツや音楽ライヴなどで、大勢が無意識のままにひとつになる感覚に覚えのある人にはピンとくるかもしれません。
まだ研究は途上ですが、集団で何かに集中している時の「以心伝心」としか呼べないような通じ合う状態に科学の光が当てられたことになります。
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