京セラ「DuraForce EX」発表会まとめ、SIMフリー版も提供で新型TORQUEもまもなく登場へ



個人向けスマホから撤退し、法人向け製品やサービスの提供を中心に転換していくと表明した京セラ。

今後の事業戦略や、新製品のタフネススマホなどに関する発表会を行ったので、その模様をお届けします。詳細は以下から。

◆速報記事
【速報】京セラがTORQUEじゃないタフネススマホ「DuraForce EX」発売決定、SIMフリー版の提供やOSアップデート保証も | Buzzap!


【速報】新型「TORQUE G06(仮)」発売決定、まもなくauから正式発表 | Buzzap!


◆レビュー記事
【速報】京セラ新型タフネススマホ「DuraForce EX」速攻レビュー、車に轢かれても耐え抜いてOSアップデート保証まで付いた局地戦仕様の1台に | Buzzap!


◆発表会の様子


登壇したのは京セラの執行役員 通信機器事業本部長の飯野氏。


「GEARED UP!」を合言葉に、ギアを1段上げて加速していく同社の事業展開について説明。


まずは現在の事業方針から。


通信機器事業の戦略の転換に合わせて製品のポートフォリオを大きく変え、法人用途向けのビジネスを強化していくとのこと。


法人用途の通信事業とは、具体的に企業に製品を使ってもらう「カスタム機器やアクセサリ」、導入支援やアプリなどを提供する「ソリューション」、端末などの「修理・保守サービス」、そして5Gミリ波の活用に役立つ「インフラ機器の開発」の4つ。


通信ソリューション事業を通じて様々な課題に直面するユーザーを助け、社会貢献をめざすとしています。


京セラはこれまで、シニアやキッズ、アウトドア、オフィスや現場ワーカー向けの製品などを開発してきたため、今後も使うユーザーに寄りそうサービスの提供に努めるとのこと。


その上で、高耐久端末を累計で1260万台以上出荷した高品質なモノづくりの実績と、ユーザーの事業に合わせて設計開発するカスタマイズ力を発揮した事例をいくつか紹介。


まずは貢献していく事業について。物流から建設、医療・介護、小売、飲食、教育など多岐に渡ります。


その中でも3つの事例を紹介。


1つめは学習塾向けのICT(情報通信)機器。机から落としても安心な高い耐久性や子どもでも扱いやすいデザインを備えたタブレットを開発し、複数の導入例があるとしています。


次に高齢者見守り用のGPSユニット。冷蔵庫の開閉によって家族のスマホアプリに通知が行くなど、介護システムと連携できる機能性やカスタマイズ性で導入に至ったとのこと。


さらに中古端末のリファービッシュ(修理再生品)業務。ファインセラミックのノウハウを活用した研磨機は、京セラならではの導入例。


◆京セラの未来のビジョンについて
そして今度はこれからの事業展開の話題へ。


登壇したのは、京セラの通信機器事業本部 通信事業戦略部 コ・クリエーションビジネスユニット責任者の原田氏。


京セラがパートナー企業と共同で社会課題に取り組んで行きたいとしています。


例えば日常の暮らしに関する課題解決。


日本の65歳以上の事故においては、交通事故より多いのが浴室での溺死や溺水。およそ2倍以上の数字です。


こうした社会課題を解決するため、非接触で脈拍数などを測定、状態変化を検知したら家族に通知する機能など、おうちのお風呂を安全にするソリューションなども想定できます。


さらに同社のミリ波センサーを使うことで、人に触れることなく、マイクロメートル単位の微細な振動を高精度に検知。様々な用途での拡張性も備えることもできるとのこと。


さらに今後の老朽化が社会問題となりつつある日本のインフラを保全するため、非接触で固定点から判定できる技術や、高耐久な変形検知センサーの設置などで健全性を判定し、安心できる暮らしに繋げるとしています。


続いての社会課題は慢性的な人手不足、いわゆる「2024年問題」。


ポストコロナ時代を迎え経済が活性する中、建設業や運輸・通信業は倒産件数が増加しているそう。


心拍センサーの付いた骨伝導ヘッドセット、センサーから取得したデータでドライバーの健康状態を定量化する仕組みなど、細かな業務効率化を行うことで事業に貢献できるとしています。


◆DuraForce EX登場
今まで紹介してきたDXの推進にあたり、ビジネスの現場に寄り添うモデルとして誕生したのが新型高耐久スマホ「DuraForce EX」です。


登壇したのは通信機器事業本部 通信事業戦略部 クロスインダストリービジネスユニット責任者の大内氏。その手の中にあるのが実物です。


拡張の「Extension」、機能の切り替えを意味する「Exchange」そして専門従事者のニーズに応える「Export」を意味しています。


バーコードスキャナーから連絡用スマホ、決済端末などの用途別に複数の端末を所持している現状で、それらを統合することで課題を解決。




また、コンクリートへの落下や車で踏むなどの試験もクリアしています。過酷な耐久実験の様子や、本体のレビューは別記事で紹介しています。


【速報】京セラがTORQUEじゃないタフネススマホ「DuraForce EX」発売決定、SIMフリー版の提供やOSアップデート保証も | Buzzap!


落下や衝撃に強い設計は健在で、過酷な現場でも長く使うことができます。


また、電池が劣化してもユーザー側で電池を交換できるため長く使い続けられる上に、電源を落とさず交換できるウォームスワップ機能も搭載。


グローブや濡れた手での使用もできるなど、作業現場などでの利用を一番に考えた設計になっているとのこと。


DuraForce EXはドコモ、ソフトバンク、京セラから2024年1月下旬以降に順次発売予定です。


そして「TORQUE」については、後日KDDIからのリリースが予定されているとしています。


◆質疑応答


Q:通信ソリューションを社会に寄り添いながらやっていくという方向性でいいのか。通信事業の規模感はどれほどか
A:その認識で問題ない。具体的な数字は公表できない、5月の決算で説明したとおり売り上げ規模を2000億円から2700億円まで伸ばしていきたいということで、それらの社会向け事業で売り上げを伸ばしていきたい。

Q:個人向け通信端末について、TORQUEの発売時期や特別な情報などは。
A:今日の時点ではお答えできない。もうまもなくリリースを出すことができるので、KDDIのリリースを待ってほしい。

Q:個人向けの取り組みについて、社長から終息するという方針が示されたが、TORQUEなども含めてどんな風に進めていくのか。
A:2025年3月までに終息させていく計画。しかし法人向けは継続。TORQUEやフィーチャーフォンについては継続するということ

Q:DuraForce EXとTORQUEの2つのブランドの製品を、違うスケジュールで進めていくのか。
A:TORQUEだけが特殊な立ち位置だと言える。戦略を転換した後も法人向けの端末として扱いつつ、個人向けとしても展開していく。

Q:DuraForce EXは個人でも購入できるのか。
A:購入できる。店頭には並ばないのでオンラインで買う形になる。京セラからもSIMフリーモデルを出す予定。

Q:「DuraForce」シリーズはこれまで北米向けに展開されていたが、国内向けに出した理由は。
A:これまで北米向けに販売し、逆輸入という形で国内向けに展開してきた。今回は逆輸入でなく、完全国内向けでの展開となる。TORQUEは法人向け及び個人向けの展開。

Q:なぜDuraForce EXはドコモとソフトバンクでの展開で、KDDIからは出ないのか。
A:DuraForce EXとTORQUEは、高耐久モデルとして似て非なるもの。KDDIについてはTORQUEを通してやっていき、ドコモソフトバンクは今まで展開できてこなかった。ようやく3大キャリアから高耐久モデルが準備できたという形。

Q:販売目標は?
A:細かには答えられないが、望んでいるユーザーが多くいるため、そういった層に届けていきたい。

Q:国内では5Gミリ波の需要が全くない状況だが、通信事業としてどうやって取り組んでいくのか。
A:5Gミリ波については、実情なかなか使い道が見つかっていないと認識している。トラヒックが増大する中で必要なものの1つであるため、キャリアなどとどうやって活用するか、ロールアウトをどうするのか相談しながらやっていく予定。

Q:「個人向け」の定義について、法人でも個人でもどちらでも売るということだが、学習塾のタブレットのようなギアは個人向けとして終息するのか。
A:基本的にはキャリアを通じて個人向けに販売するものが個人向け、法人向けとして販売するのが法人向け。

Q:今後何年後をめどにいくつくらいのソリューションを提供したいのか、規模感や時期のめどは。
A:時期感については、これから2~3年ほど、2025年~2026年3月期まで。いくつかの企業と共に事業を進めている。ミリ波の促進をはじめ、どういったことが社会の課題解決に繋がるのかというのを基準に進めていく。

Q:今何種類くらい事業を温めていて、どれくらい実用化したいのか。
A:複数同時に動いている、というのが現状。

Q:DuraForce EXはTORQUEより出荷量が多いのか。TORQUEより機能としては充実しているのか。
A:充実している部分がどちらも場面々々にある。どちらの機種も法人向けの基軸になるものなので大事にして行きたいと思っている。

Q:DuraForce EXはなぜKDDIで発売しないのか。
A:まずTORQUE第1で展開していきたいから。TORQUEで展開できなかった法人向けについてドコモとソフトバンクで進めていきたい。

Q:ソフトバンク版とドコモ版はSIMフリーではないのか?
A:SIMロックは解除されている。京セラでもSIMフリー版を発売する。バンドの差分もなくアンテナ仕様も同じ。

Q:もう1つのMNO(楽天モバイル)については。
A:バンドが欠落している状況なので、今のところ販売の予定はない。

・関連記事
次世代PHSこと「sXGP」京セラがサービス開始、プライベートなLTE回線をスマホで使えるように | Buzzap!

家の照明で25Gbpsの超高速通信できる「Li-Fi」京セラが開発、5GやWi-Fiいらずで電波干渉も気にせず快適に | Buzzap!

高精細「空中ディスプレイ」を京セラが開発、空間にリアルな映像を投影し触れる操作も可能 | Buzzap!


フォローして最新情報を手に入れよう

モバイルに関連した楽天商品(PR)