有名SF作品に通じるフラグが立てられたようです。詳細は以下から。
人間のように頭のいい生物を人工的に作り上げることはできるのか。神の領域に踏み込むという批判は根強くとも、人類の見果てぬ夢のひとつです。
物語の世界では、往々にしてその結果は人類にとって好まざるものになる事が多いのですが、恐れを知らぬ中国の科学者たちがその領域への一歩を踏み出しました。
ジャーナル「National Science Review」に掲載された論文によると、中国のKunming Institute of Zoology, Chinese Academy of Sciencesの研究者らはアメリカ合衆国のノースカロライナ大学と共同し、11匹のアカゲザルに対して人間の脳の発達や進化を司る遺伝子MCPH1を注入。
そのうち成体になるまで生き延びた5匹が記憶テストや反応速度において遺伝子組み換えされていない対照グループよりも良い結果を出したとのこと。
実験で猿たちはスクリーンに映し出された画像の色と形を記憶することを求められ、その正確さと反応速度を計測されました。研究チームは「我々の予備認知テストで、遺伝子組み換え猿に特筆すべき短期記憶の発展が観測されました」と述べています。
この遺伝子組み換え猿たちの脳のサイズは対照グループの猿たちと変わりませんでしたが、発達により長い時間が掛かるという特徴がありました。
脳のイメージと組織切片の分析によると、遺伝子組み換え猿たちはニューロンの発達と髄鞘形成が遅れるとのこと。これは人間にも見られるネオテニーに類似しています。
編集部注:ネオテニーとは幼形成熟、幼態成熟と訳される現象で、性的に完全に成熟した個体でありながら非生殖器官に未成熟な幼生や幼体の性質が残る現象のことを指します。
ネオテニーでは脳や体の発達が遅くなる代わりに各種器官の特殊化の程度が低いため、多種多様な環境に適応できる可塑性が高いと考えられています。
人類自体が猿のネオテニーであるとの学説もあり、「子どもっぽさが賢さのもと??日経サイエンス2009年10月号より」で論じられていますので興味のある方はご一読を。
当然ながらこの実験には生命倫理などの観点から数々の批判が巻き起こっていますが、人間特有の知性の由来についての重要な知見が得られたと見ることもできます。
この研究を皮切りに、同様の研究が続けられる可能性もありますが、その結末が世界的に有名なSF作品のようになることを心配する声もネット上では上がっています。
こうした研究が行き着く先が示すのが「人類の愚かさ」でなければいいのですが…。
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