NECがワイヤレス機器のアンテナ受信感度を最大10倍に引き上げ、通信速度を最大2倍にする「EBG構造」と呼ばれる電磁ノイズ抑制技術を開発したことを先日BUZZAPでお伝えしましたが、詳細を問い合わせてみたところ、LTEやWiMAX、3Gといった既存の通信技術も対象となることが明らかになりました。
既存の通信規格のまま、さらに高速な通信を可能にする、ものすごい技術となっています。
BUZZAP編集部で問い合わせた内容と、NECからの回答は以下の通り。
BUZZAP編集部:
試作ボードで2.4GHz帯の無線LAN(Wi-Fi)のスループットが向上することを実証していましたが、この技術自体はWi-Fi以外にもLTEや3G、WiMAXといった各種通信技術にも適用できるものなのでしょうか。
NEC:
本技術は、LTE、3G、WiMAXなどの通信でも適用可能です。このたび開発したEBG構造は、金属線の長さによって共振する周波数帯が異なるのですが、その長さを変えることで、それぞれの無線通信に対応します。
ただ、特に3GやLTEはスマホを想定されるかと思いますが、スマホ内の基板は小さく、既に電子デバイスや配線が高密度に実装されており、EBG構造を形成するスペースがほとんどないため、現段階では、タブレット端末やルーターなど機器の基板への実装を検討しております。
BUZZAP編集部:
また、適用できる場合NECアクセステクニカ様が発売されている「モバイルWiMAXルーター」のような製品では「2.4GHz帯のWi-Fiのノイズと、2.5GHz帯のWiMAXのノイズを抑制」といったことが可能になるのでしょうか。
NEC:
開発したEBG構造は螺旋形状になっておりますが、2.4GHz帯、2.5GHz帯で異なる長さの金属線を二重螺旋のように形成すれば、両周波数帯のノイズをカットすることができます。
BUZZAP編集部:
ありがとうございました。
NECの回答を含めて簡単にまとめると、「EBG構造」の特徴はこんな感じ。
・一般的な材料および製造プロセスでプリント基板内部に容易に実装可能
・アンテナ感度は最大約10倍、実効速度は約2倍に向上
・Wi-FiだけでなくLTEや3G、WiMAXなどの各種通信に対応可能
・スマートフォンは基板が小さいため、タブレットやルーター向け
・モバイルルーターの場合、LTEやWiMAX部分と無線LAN部分の両方のパフォーマンス向上が可能に
今までノイズによって低下していた通信品質を改善してパフォーマンスを向上させる技術であるため、既存の規格を用いた通信に加えて、今後導入されるであろうLTEやWiMAXの後継規格であっても実効速度の向上が期待できる……というのが大きなポイントの「EBG構造」。
NECは2012年に発売したモバイルルーター「AtermWM3600R」に実装した「WiMAXハイパワー」で、送信能力を約2倍に向上することで建物の中などでも電波を拾いやすくしていますが、EBG構造を組み合わせればさらにつながりやすく、高速なWiMAXルーターを展開することもできそうです。
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