AIの活用で6000種類のウィルスが新たに特定される

Photo by AJ Cann

AIは既に夢の未来技術ではなくなっています。詳細は以下から。

AIの機械学習が医療の現場で目覚ましい成果を上げています。アメリカ合衆国エネルギー省科学局のJoint Genome Institute(JGI)のSimon Roux博士らの研究チームはジャーナル「Nature」で、AIを活用して新たに6000種類のウィルスを特定したことを発表しました。

今回の実験で使われたのはイノウイルスと呼ばれる腸内細菌などのバクテリアに感染する種類のウイルス。人間には直接感染しませんが、コレラ菌がイノウイルスに感染することで毒性が増すなど、宿主の細菌を通じて影響を及ぼすこともあります。

AIは与えられたデータを学習して遺伝物質の特定のパターンを認識するようにトレーニングされ、自動的にイノウイルスを分類します。

Roux博士のアプローチでは、最初に研究チームはAIに既に知られているイノウイルスの805のゲノム配列を与えます。次に他のウイルスや細菌の2000のゲノム配列を入力することで、AIはイノウイルス科のウイルスを炙り出すことができます。

このトレーニングされたAIによって大量の遺伝子情報のデータを分析することで、それぞれの種に分かれた10000以上のイノウイルスを発見したのです。

Roux博士らの研究以前に知られていたイノウイルスは100種にも満たないものでしたが、AIを活用することによって6000種近い未知のイノウイルスを特定することになりました。Roux博士はこの多様性からイノウイルス科は実は複数の科にまたがる可能性があると考えています。

この研究は公衆衛生の観点からも、産業への応用という観点からも非常に大きな成果と言えます。AlphaGoのようなAIが昨年は大きな話題となりましたが、既に物珍しい未来の技術ではなく、現実の生活に影響を及ぼす技術としてAIが実用化される段階が訪れていると言うことができそうです。

AI Helps Scientists Discover Almost 6,000 New Viruses _ IFLScience

(Photo by AJ Cann


AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
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