ジャパンディスプレイ、Appleから借金して作った主力の白山工場をAppleとシャープに売って借金返済


経営再建中のジャパンディスプレイが、主力工場を売却しました。詳細は以下から。

時事通信社の報道によると、ジャパンディスプレイが主力の白山工場を10月1日付けでシャープとAppleに711億円で売却したそうです。内訳は土地と建物などを得たシャープから約411億円、液晶パネルの生産装置を得たAppleからは約300億円。

売却で得た資金は、Appleから工場建設時に借り入れた前受け金の返済に充当。残った借り入れも同社向けの売掛債権と相殺し、完済したとしています。

産業革新機構が主要株主となり、ソニー・東芝・日立のディスプレイ部門を統合して作られた国策企業であるジャパンディスプレイ。

今回売却された白山工場はスマホ各社で有機ELへのシフトが本格的に持ち上がりつつある中、液晶パネル専用工場として本格稼働。スマホ向け液晶で世界トップクラスの製造数を誇っていました。

しかしAppleへの依存度が高く、ほかの大口顧客からも「競合他社の液晶や有機ELディスプレイをダシに、いくらでも製品を買い叩かれる」という厳しい状況を自ら招く結果に。

一時は「赤字を税金で補填しながら液晶パネルのシェアをめぐって同じ日本メーカーのシャープと争う」という地獄絵図が繰り広げられていました。もちろんこの流れで得をしたのは、Appleをはじめとした海外のスマホメーカーです。

なお、ジャパンディスプレイは早い段階で自らの置かれている状況を正確に把握しており、さまざまな角度から分析した経営上のリスクを公式ページに掲載していました。

有機ELで出遅れたジャパンディスプレイ、自社がまとめた「事業等のリスク」が当てはまりまくる事態に | BUZZAP!(バザップ!)

それでもこのような結果となった背景には「経営陣が産業革新機構および経済産業省の顔色を常にうかがう必要があり、意思決定をスムーズに行えず、ドラスティックな経営体質の改善に踏み切れなかった」という、日本の国策企業ならではの問題点が挙げられます。

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