【印度通信 Vol.25】高橋歩がインドにつくった学校「Mother Baby School」でボランティアをしてきました


NPO法人「On the Road」の震災支援活動でも知られる高橋歩が2008年にヴァラナシの郊外ののどかな村に学校を作りました。ここはどんな学校なのか、何を教えているのか、実際にボランティアとして訪問して来ました。

2007年に雑誌「旅学」の編集長と共にインドを訪れていた高橋歩は、ヴァラナシで自分の村に学校を作りたいと考える1人のインド人と出会いました。彼はその理想に共感し、日本で支援者を集め、自分たちの手で学校を建設することにしました。

「旅学」の特集記事で募集されたボランティアには83人もの日本人が参加、2008年5月から1ヶ月掛けて自分たちの手でレンガを積み、本当に学校を建ててしまったのです。

こうしてできたのが今回訪れる「Mother Baby School」、現在On the Roadが運営を担います。ヴァラナシの対岸の村に位置し、無償で村の子供たちに学用品を支給して勉強を教えています。

この村はヴァラナシの郊外と言ってもガートのあるメインの観光エリアからはそれなりに離れているので、リキシャを使わなければ行けません。ヴァラナシの街の南から橋を渡り、ガイドブックにも載っているラームナガル城を超えて行きます。ここまで来ると完全に別の街。

今回自力で行こうとしたため、非常に大変なことに。途中困っていたところ親切なおっちゃんがバイクで送ってくれましたが、この街でも知らない人が多く何度も道を聞きながら連れて行ってくれました。

最後は農村の風景になり、前日降った雨でこのぬかるみ。ようやく看板が出てきたのでここで丁寧にお礼を言って歩きました。おっちゃんには本当に感謝です。

集落の小道を通って学校に向かいます。ここではさすがにみんな知っています。「地元」の感覚のエリアは広くはないようです。

入り口では授業前に子供たちが遊んでいます。ボランティアスタッフたちと一緒に長縄をしたりバドミントンをしたり、屈託なく人懐こくてはじめはちょっと圧倒されます。

この校舎は全て日本人ボランティアたちがひとつずつレンガを積んで作った手作り。

ここが1階の教室。

階段や壁のレリーフがとても素敵です。建設当時は2階部分はゲストハウスになっていましたが、現在は生徒も増えたため休止されており、教室やスタッフルームに利用されています。

こちらは子供たちが作ったアクセサリーや、子供たちの写真を使ったカレンダーなど。この収益はすべて学校の運営資金になります。今のところ現地でしか購入できませんが、日本での販売、ネット通販も今後行なっていく予定とのことでした。

ボランティアの1日についてですが、朝8時過ぎにヴァラナシのスタッフが宿泊しているホテルの前に集合し、契約しているリキシャに乗り合わせて学校まで向かいます(これを利用しなかったために筆者は苦労するハメになりました)。始めての人は学校到着後オリエンテーションを受け、「Mother Baby School」ができた経緯、スケジュールなどについて教えていただきます。こちらはスタッフが作ったボランティア向け初歩ヒンディー語シート。これ、使ってみるとかなりよくできてます。

ボランティアが受け持つのは午前中に幼稚園児の年齢の子供たちのヒンディー語の書き取りと英語。そして昼休みを挟んで午後は小学校低学年の子供たちの算数です。授業が終わるのは季節に寄りますが14時頃。遅くとも16時頃にはホテルのあるヴァラナシの観光エリアまでリキシャで戻ってきます。

学校の子供たちはとにかく元気。エネルギーのかたまりのようです。ボランティアは初歩ヒンディー語シートを覚えながら子供たちの勉強を見ていきます。子供とはいえやっぱりインド人、一筋縄では行きません。

ですが勉強に撃ちこむ姿は非常に真剣。時には子供同士で教えあいながら、できない課題にも粘り強くチャレンジしていました。算数の時間は計算問題を作って答え合わせをしていくのですが、早く次の問題を作ってくれと何度もせがまれました。

ここでは勉強に加えて生活習慣の指導もしており、昼食の後には歯磨きの指導もしています。

なお、昼休みの時間は授業前と同じように全力で遊びます。

最後の算数が終わった後、ボランティアによる特別授業の時間が設けられます。ものを作ったり絵を描いたり、ボランティアごとにできることを子供たちに興味を持ってもらい、レクリエーションとして一緒に楽しみます。

今回はその時間を使って子供たちに話を聞かせて頂きました。小学校の低学年から高学年までの年齢、6歳から11歳までの10人が答えてくれました。

まず、学校の勉強で一番興味があるのは?という質問に対してはヒンディー語1人、英語2人、算数6人、図工1人と、ゼロを発見したインド人らしい回答に。実際彼らの算数を見ているとパズルゲームに没頭しているような感覚になります。

そして次にどこか行ってみたい場所、国があるかと質問してみました。回答はちょっと驚いたことにデリー、ムンバイ、コルカタといったインド有数の大都市の他にヴァラナシという答えもありました。子供たちの生活圏からするとヴァラナシも地元ではありません。なお、外国で名前が出てきたのは日本のみでした。これは日本人運営の学校だからという理由が一番大きいでしょう。

また、興味のあるものやこれからについて質問してみたところ、将来のことについて語ってくれた子はおらず、現在の勉強や遊びが好きという回答が目立ちました。

こうした子供たちの現状については、On the Roadのインド・バラナシ駐在員、林さんにインタビューを行い、その中で詳しくお伺いしています。印度通信次号に掲載予定。

【印度通信 Vol.26】「Mother Baby School」スタッフに聞いたスクールとインドの現在と未来 BUZZAP!(バザップ!)

最後になりましたが、ボランティアを行なってみたい方はOn the Roadの公式HPから概要を確認してみて下さい。

インド学校 海外支援ボランティア参加者募集|NPO法人オンザロード On The Road

応募も以下のフォームから可能。

ボランティア参加申し込みフォーム

最短で1日からボランティアを募集しています。現在どのようなボランティアが必要かはHPで確認可能。また、インドは祝祭日が多いため、急に休みになることもあります。スケジュールは余裕を持って立てた方がよいでしょう。また、往復交通費と昼食代が実費として(為替レートにも寄りますが6~700円程度)かかります。

ただ旅をしているだけではなかなか接することのできないローカルな村の様子を見て、人と触れる貴重な機会になると思います。子供好きな方、インドに行こうと考えている方、一度訪れてみてはいかがでしょうか?

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