高円寺アンダーグラウンドで平日夜に繰り広げられている「高円寺DJ練習会&交流会」とは?



先日からDJスクールの存在が取り沙汰され、議論にもなっていましたが、そうしたオーバーグラウンドな動きとは別に、自分たちのクラブシーンの遊び方を模索している人々がいます。東京のアンダーグラウンドシーンが蠢く高円寺で平日にDJ練習会と称して行われているイベントを取材しました。彼らはクラブシーンをどのように捉えているのでしょうか。

今回おじゃましたのは高円寺のDJ's Bar CAVE。ここで毎月2回、月曜日に行われているのが「高円寺DJ練習会&交流会」と呼ばれる、クラブイベントとはちょっと違うDJを練習したい人、交流したい人のための集まり。

数年前からSNSを通じて始まった、草の根的なこの練習会にはどんな人がどのようなノリで集まっているのでしょうか。そこから見えてきたのはこれまでのクラブイベントやDJのあり方とは一味違った緩やかで自由な雰囲気に満ちたコミュニティでした。発案者にして主催者でもあるDJ's Club Room中根佑介さんからお話を伺いました。

DJ練習&交流会 - Dj's Club Room公式HP 高円寺DJ練習&交流会 DJ教室(DJスクール) DJイベント

BUZZAP!編集部(以下、B):
このイベントを始めたのはどれくらい前なんですか?

DJ's Club Room 中根佑介(以下、中):
名前はコロコロ変わったりしていて、前は高円寺の別のところでやっていたんですが、その店がなくなったのでここでやるようになりました。始めたのは5年か6年くらい前なんですよ。

B:
その前からDJはされていたんですか?

中:
DJを始める時に、最初は下手くそだから練習会やろうと思ったんです。自分ひとりでやってるとあんまり色々見れないので、とにかくDJの練習したい人を集めて、そこで自分もできればいいかなって思って始めました。

B:
最初はもっと規模は小さかったんですか?

中:
同じくらいですかね。今はこれ以外にもイベントオーガナイズもいろいろやっているので総合的には大きくなっているんですが、これ自体は20人前後ですかね、いつでも。あまり大きくても喋れないし。

B:
今のメンバーは昔からというより出入りしている感じですか?

中:
自分以外はずいぶん変わりましたね。DJをずっと続けない人も多いので。これの趣旨みたいなものは、「ひとりで家でやるのは物足りないけど、イベントみたいにきっちりやるのは面倒臭い」みたいな人の行きたい場所としてやれればいいかなと。そういう気分の時に来れればいいと。

B:
今いる人は初心者だけでなく、経験者もやりに来ていますか?

中:
参加している層はDJ既にやってる人で参加されている人はいわゆる「オタクDJ」で、現役でやるのは疲れちゃったんで、家でやってますみたいな。でもそれじゃちょっとつまんないからこういうのがあったら楽しめるかなみたいな人もいます。だから10年とか20年とかDJやってる人も全然いますし。

B:
かけてるジャンルもみんなバラバラという感じですか?

中:
はい、そうですね。もうオールジャンルです。DJ経験者の人はスキルはあると思いますけど、人によってバラバラで、アニソンとかハウスとかR&Bとか、最近のEDMとか。

B:
それはすごく面白い集まり方をしますね。

中:
そうなんですよ。そういう意味では変な会です。同じハウスだったらハウス、アニソンだったらアニソンって固まっていくと思うんですけど、そうじゃない感じの集まり方をしますね。

B:
これくらいのノリで遊びたい人の集まりというか。

中:
そうですね。後は現役バリバリの人も。クラブってあんまり話しにくいというか、音がでかいじゃないですか。ここは敢えてあんまり音をでかくしないようにしてるんです。というと、音が小さいとできるのが喋れるってことなんです。クラブだと「お疲れ様です!」「どうですか?」「いい感じですね!」くうらいしか喋れないじゃないですか。それで帰る時も声かける時も面倒臭いからささっと帰っちゃう。

ここは全然違って普通に喋ってるんで、友達の家に近いっていうか。友達の家って別にバリバリに音を上げて踊りに来るってことはないじゃないですか。例えば練習してたとしても。なんか家飲みのParty感があって、それで音も一応やってるし、気になるDJさんがやっていたらちょっと見に行くっていう。そんな感じですね。

B:
年齢層もバラバラですか?

中:
20歳くらいの若者から50歳とかまで、何でこの人来たんだろって分かんないですけど。ネットで何歳でも見ることができて、自由な感じがするのか敷居が低いんですね。普段クラブに来ないような、この人クラブにいたら浮くんじゃないかって人も来ますね。

逆にそういう人にも楽しんでもらいたいっていうのがあるんです。クラブである程度限られた人しか楽しめないっていうのだと、やっぱり逆に自分はつまんなくなっちゃう。もっと楽しいことできないかなっていうので、いろんな人と関わりたいから練習会は大事ですね。

B:
ここから始まって一緒にイベントをやるようなケースもありますか?

中:
ありますよ。元々DJイベントやる前からこれやってて、そこからイベントできるなってことになってやったみたいなところあるんですよね。自分でもイベントやってるんですけど、ここで出会った人が全く自分と関係ないところでイベントやってたりもします。これがなければ出会えなかった人同士でやってたりもするんで、それもいいかなっていう。

もっといろんなタイプの人に来てもらいたいですね。男でも女でもそれ以外でも。年齢も若者からおじいちゃんおばあちゃんまで。そういう人が来たらどうなるんだろうっていうのも体験してみたいですね。

B:
ここにはどんな媒体から来る人が多いんでしょうか?

中:
本当はいろいろな媒体から集めたいんですけど思いつかないんで、今は主にTwitterですね。後は口コミとか。昔はmixiでしたけど。オフ会の延長という感じでやってます。だから全くDJ触ったことがない人もたくさん来たりします。

B:
とりあえず自分の好きなCD持ってきて…という感じですか?

中:
最早何したらいいのか分かんないんだけど、来ますみたいなwDJやったことないんだけど「DJやったことない人も来ていいですよ」って宣伝してるんで「なんだかよく分かんないんだけど来ましたけど、どうしたらいいんですか?」みたいな人も来ます。

B:
そういうところからハマっていく人もいたりしますか?

中:
そうですね。DJって結構強力な武器だと思うんですよね。人にはいろんな武器があると思うんですが、DJはわりと簡単にできて大きく化ける可能性があるというか。なので、そういうきっかけを作れたらいいなと思ってます。

センスや音楽の経歴が面白くてもDJやってないだけで表に出てこないじゃないですか。そういう人にDJをできるよって言った時にどうなるか楽しみだし、そういう人が増えてきたほうが今の時代いいんじゃないかなと。

昔は敷居が高くて、一定の人がカリスマになって、そこをみんなで見に行く時代だったけど、今はSNSの時代なんで、いろんな人が始めてそこで何かが生まれると。ちょっと水準は低くなりやすいんで、もっと目指したい人のためにスクールなんかもやったりしています。

まだ全然手を付けてはいませんが、クラブイベントとは別に、今後はオフ会やBarにもDJ増えていくと思うので、そういう枠をここで始めた人ができていったらいいんじゃないかなと。最早もうみんなDJになればいいんじゃないのって思ってます。

ただ一応一定のレベルのスクールみたいのもやってある程度いいものっていうのも作っていきたいですね。練習会の趣旨とはちょっと違いますが。

B:
ありがとうございました。

筆者の感想としては非常に東京らしいコミュニティのあり方であると感じました。支配的な地元層がおらず、誰もが対等で強いつながりを求められず、付かず離れずの適度な距離感を保ちながら独立した個人として関わりあう。全国から「よそ者」が集結する東京ならではの文化と言えるのかもしれません。

90年代から00年代のDJ社会のノリを知っているDJさんから見ると、余りの違いに隔世の感があるかもしれません。「こんなヌルいのありえん!」と怒り出す人もきっといることでしょう。しかし、中根さんがSNSの時代と言ったように、10年代のDJカルチャーはこのようなところから新たに生まれてくるのかもしれません。

クラブシーンの高齢化問題が叫ばれる中、若者から50代までが集うこうしたコミュニティのあり方は見るべきものを数多く含んでいると考えます。風営法問題に絡みクラブシーンのあり方が大きく変わりつつある現在、こうした動きに目を向けてみるのも面白そうです。

実際の現場の様子はこんな感じです。音楽好きの集まりですからいい音がかかればもちろん盛り上がります。
高円寺DJ練習会&交流会 - YouTube

なお、次回の開催はGWのため5/8(木)に高円寺DJ's Bar CAVEにて19~23時に開催とのこと。


Facebookページはコチラから。



高円寺DJ's Bar CAVE
TEL:03-5929-9099
住所:東京都杉並区高円寺南4-23-5 ACPビル地下1階
HP:
http://www.djsbarcave.com/





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