携帯各社のWi-Fiスポット干渉問題はテザリング解禁でさらに悪化、対策に乗り出す国も



スマートフォンの普及に伴い、増大を続ける通信量を分散(オフロード)するために携帯電話各社が導入している無線LANスポット。

しかしながら「○○万スポット突破!」などと各社がWi-Fiスポットの数を誇れば誇るほどスポット同士の干渉が強まり、つながらなくなるわけですが、ついに対策に乗り出す国が現れました。



◆台湾政府がWi-Fiスポットの干渉対策に乗り出す
Taiwan market: Government official recommends Wi-Fi hot spot sharing

台湾のIT系ニュースサイト「DIGITIMES」によると、同国のテクノロジー担当大臣サイモン・チャン氏が携帯電話各社が展開するWi-Fiスポットの干渉問題について、政府として携わることを表明したそうです。

これは携帯電話各社が展開しているWi-Fiスポットを共有し、共同で敷設していくことを調整する役割を政府が担うというもの。

台湾ではまだWi-Fiの利用率はあまり高くなく、今後携帯電話各社がユーザーに積極利用を促すことを計画しているため、効率的なスポットの設置と合わせて高い効果を得られることが期待されます。

◆日本の携帯電話各社が展開しているWi-Fiスポットの現状は?
なお、日本国内では先行するソフトバンクモバイルの「ソフトバンクWi-Fiスポット」に対して、KDDIが「au Wi-Fi SPOT」、NTTドコモが「docomo Wi-Fi」を展開する形で追従。通信量の多い繁華街などを中心に各社が整備を進めているのが現状です。

2012年9月時点で31万ヵ所を突破するなど、圧倒的な敷設数を誇る「ソフトバンクWi-Fiスポット」。


物量で押すソフトバンクモバイルに対して、KDDIが展開した「au Wi-Fi SPOT」は混雑の少ない5GHz帯にも対応するなど、つながりやすさを重視。2012年9月時点でのスポット数は20万ヵ所以上です。


2013年3月には約12~15万まで拡大する予定の「docomo Wi-Fi」。オフロードのためにWi-Fiスポットを設置する方針ではあるものの、Wi-Fiは高品質化に限界があるため、NTTドコモは「あくまで選択肢の1つ」という位置付けにしています。


上記の写真はすべて同じビジネスホテル内の同じフロアに設置されていたもので、各社ともどれだけWi-Fiスポットの敷設に力を入れているのかが分かりますが、問題はやはりスポット同士の干渉。

すでに一般的な無線LANで使われている2.4GHz帯が混雑し、スポットを密に敷設すればするほどつながりづらくなる状況に陥っている上、ソフトバンクモバイルが将来的に拡大予定の40万スポットすべてを5GHz化することを表明したことで、先行して展開されている「au Wi-Fi SPOT」と合わせて、5GHz帯でも干渉が避けられない事態となっています。

◆ただでさえ混んでいるWi-Fiにとどめを刺すモバイルルーターやテザリング
このように、携帯電話各社が展開しているWi-Fiスポットが干渉を引き起こしていますが、次に問題となりそうなのが普及の進むモバイルルーターやスマートフォンのテザリング機能。

スマートフォンがモバイルルーターの役割を果たし、ノートパソコンやタブレット、携帯ゲーム機などで手軽にインターネット接続できる便利な機能ですが、すでに前述のWi-Fiスポット同様、ユーザーが密集する場所で干渉が発生するという懸念があります。


実際にBUZZAP編集部でも携帯電話の新機種発表会などでテザリングを利用しようとしたところ、モバイルルーターやテザリングによるもの、そして会場に設置された携帯電話各社などのWi-Fiアクセスポイントが合わせて数十見つかり、接続が全く安定しないといった事態が発生していました。

◆日本でも行われている、携帯電話各社共同のインフラ整備
モバイルルーターやテザリングなど、個人レベルのWi-Fiアクセスポイントを規制することは難しいため、せめて携帯電話各社が設置しているWi-Fiスポットだけでも台湾政府のような取り組みを行って欲しいところですが、参考になりそうなのが地下鉄などでのエリア整備の例。

地下鉄のトンネルなどは携帯電話各社が加入する「社団法人 移動通信基盤整備協会」の主導で整備が行われた通信インフラを各社が利用する形となっています。


このように共同で携帯電話向けのインフラを整備するというケースはすでにあるわけですが、やはり気になるのが日本でWi-Fiスポット共有化に向けた試みがあった場合、実現できるかどうかという点。携帯電話各社はスポット数やつながりやすさなどを他社との差別化要因としてアピールしているため、容易でないことは想像に難くありません。

ちなみに現在最も多くのWi-Fiスポットを抱えるソフトバンクの孫社長はNTTの光ファイバー事業を分社化して政府やNTT持ち株会社、KDDI、ソフトバンクの共同出資会社として運営する構想を持ち上げているわけですが、もしWi-Fiスポット共通化の構想が持ち上がった場合、はたして応じるのでしょうか。

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