もうダメかもしれないWindows Phoneやタブレット、モバイルの不振はPCやXboxにも悪影響か



Windows Mobileでスマートフォンの黎明期を駆け抜けていたのも今は昔、AppleのiPhoneやiPad、そしてGoogleのAndroidの台頭ですっかり影の薄くなった感のあるマイクロソフト。

スマートフォンに「Windows Phone」、タブレットに「Windows RT」などを投入することで、モバイル分野に注力していますが、おそらくモバイル分野で復権することはなく、さらに他の事業にまで悪影響を及ぼすとみられることをお伝えします。詳細は以下から。



◆マイクロソフトがモバイル分野で苦戦、今後4~5年かけてもシェア10%程度に
今後のマイクロソフトを占う上で非常に興味深いのが、大手調査会社「IDC」が発表した今後5年間のスマートフォンのOSシェアおよびタブレットのOSシェア予測。Windowsプラットフォームはモバイル分野で苦戦を強いられ続ける見通しです。

まずは2012年12月に発表されたスマートフォンのシェア予測。2012年6月に同じ調査会社が行った予測では、2016年にはiOSをWindows Phoneが上回る見通しとされていましたが、新たな予測ではWindows Phoneのシェアは2016年にiOSの6割程度となる11.4%(2012年は2.6%)にとどまるとのこと。


そして2013年3月に発表されたタブレットのシェア予測。2017年になってもWindows RTはわずかシェア2.7%にとどまり、Windowsタブレットも7.4%しかシェアを獲得できないとされるなど、タブレット分野でもWindowsは完全にAndroidとiOSの後塵を拝する見通しです。


このような予測となった背景として、Windows Phoneは先行するiOSやAndroidと比較して対応アプリケーションや参入メーカー数が少なく、展開される国家・地域も限られ、プラットフォーム自体の普及が進んでいないことが大きく影響していると考えられます。

また、Windows RTについても従来のWindows向けアプリを利用できない上に、競合するタブレットと比べて特に価格が安いわけでもなく、「Surface RT」の32GBモデルの場合、16GB分がOSで埋まってしまうなど、アドバンテージが薄いのが現状です。

◆あまりにも中途半端な立ち位置のWindows Phone
上記の予測からも分かるように、決して順風満帆な今後が約束されているとは言いがたいマイクロソフトのモバイル事業ですが、特に気になるのがスマートフォン分野。

マイクロソフトはWindows Phoneにアプリの審査やスペック要件を課すことで、iPhoneのようなアプリケーションの安全性やAndroidのようなメーカー各社による対応スマートフォン開発、そしてOSアップデートのしやすさ……という、いわば「おいしいとこ取り」を目指してきました。

しかしながらその結果、審査がないAndroidのようにアプリを揃えることができず、マルチコアCPUへの対応も遅れ、現行のWindows Phone 8でもフルHDディスプレイをサポートしないことから、AndroidのようなクアッドコアCPU+フルHD液晶のフルスペックモデルは発売されないなど、中途半端な立ち位置となっています。

フラッグシップモデルとなるWindows Phone 8スマートフォン「Lumia 920」本体。デュアルコアCPU「MSM8960(1.5GHz)」や4.5インチWXGA(1280×768)IPS液晶、1GB RAM、32GBメモリなどを備えていますが、スペック面では2012年冬に発売されたミドルレンジAndroidスマートフォン「Xperia AX」や「Xperia VL」などと大差ありません。


つまりマイクロソフトはiPhoneやAndroidにハイエンド路線で太刀打ちできないわけですが、もう一つ恐ろしいのが「OSに課されているスペック要件がハードルとなって、低スペックなエントリーモデルを発売することもできない」という点。

その結果、各社の技術の粋を凝らしたモデルがしのぎを削る先進国はもちろん、スマートフォンの普及を図る上で重要な新興国市場にも参入しづらいわけです。

◆「Tizen」や「Firefox OS」登場で状況はますます悪化
数々の施策が裏目に出てしまった感のある中で、今後もマイクロソフトはWindows Phoneの普及を進めないといけないわけですが、ここに来て新たに立ちはだかるのが「Tizen」や「Firefox OS」といった新OS。

これらのOSはHTML5で開発されたウェブアプリを利用できるため、アプリ開発のハードルが低く、従来のようにプラットフォームに縛られることも無くなるほか、携帯電話会社による独自サービスが組み込みやすく、さらにスマートフォン本体を安価に製造することも可能。

さらに携帯電話会社各社に加え、SamsungやHuawei、ZTEといった新興国市場にも強いメーカー各社が開発に参入するなど、強力な後ろ盾があるため、そう遠くないうちにWindows Phoneが抜き去られる可能性があるわけです。

◆モバイル事業の不振はXbox事業にも影響へ
このように不振続きで今後さらなる厳しい局面に立たされそうなマイクロソフトのモバイル事業。低価格パソコンの代わりにタブレットを購入するユーザーが増えていることを考えると、モバイル不振の余波は同社の主戦場であるパソコン市場にも及びそうですが、決して見過ごせないのがゲーム事業。

マイクロソフトと競合する任天堂はWii Uとニンテンドー3DSの連携を進めており、ソニーもPS4においてPS Vitaだけでなくスマートフォンやタブレットなどとの連携を表明するなど、各社のゲーム事業において、携帯端末は欠かせない存在となりつつあります。


そして唯一携帯ゲーム機を展開していないマイクロソフトにとって、Windows Phoneは重要な意味を持つわけですが、今後も思うように普及が進まない場合、Wii UやPS4対抗の新型据え置きゲーム機が控えていると目されるXbox事業への悪影響を回避することは難しそうです。

モバイル事業のつまずきが今後さまざまな方面に影響することが懸念されるマイクロソフト。今はまだ「Microsoft Office」シリーズをモバイル分野で戦う唯一の武器として利用できなくもないとはいえ、より迅速な展開を進めない以上は、上記で述べたような悲惨な未来が待ち受けることになりそうです。


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