au「iPhone 15」への布石か、2.3GHz帯(Band 40)活用で駅や商業施設でも高速・快適な5G通信を提供へ



auが本日開催した、新たに割り当てられた周波数帯の活用についての説明会の模様をお送りします。詳細は以下から。

◆5G周波数「2.3GHz帯」の運用について


KDDIモバイルアクセス技術部長の大田氏が登壇しました。


まず、「つなぐチカラ」をキーワードにした昨年5月の経営戦略を振り返り。


500億円規模の追加投資も行ったことで、国内外で計3700万回線となったIoTがあらゆる産業に拡大したほか、Starlink等により技術面でも拡張が図られました。


◆2.3GHzとは?
2.3GHz帯は、広いエリアカバーと厚い通信容量が特徴の周波数帯。世界39の国と地域で利用されているほか、「iPhone」をはじめとした多くの機種が対応しています。

Sub-6(3.7G・4.0GHz帯)やミリ波(28GHz帯)等の高い周波数より電波が遠くまで届きやすいほか、700M・800MHz帯という低い周波数と比較して40MHz幅という広い帯域幅を持っているため、通信容量の確保にも適しています。



2.3GHz帯は現在、テレビ局などの放送事業者が中継映像を伝送するためのシステム(FPU)に使われています。

仮に携帯電話とFPUが同じ周波数を同時に使用すると、電波が混信してしまい、どちらも利用できなくなってしまいます。


放送事業者がFPUの利用予定を登録すると、システムが携帯電話事業者の基地局を停波する「ダイナミック周波数共用」という技術を使うことで、時間と場所を総合的に管理できるようになりました。


共用管理システムもKDDIが独自に開発し、人手を介すことなく運用できます。

基地局の電波発射と停止を柔軟に制御して周波数を有効利用するという仕組みは、日本で初の試みです。


放送事業者とも綿密な運用ルール作りを行ったとのこと。


今後、4Gから5Gへの移行や6Gを見据える上で、2.3GHzは重要な役割を果たすとみられています。





引き続き技術検証などを進め、2024年にサービス開始予定2026年度までに計8300を超える基地局を全都道府県へ展開する計画とのことです。


プラチナバンドのような広い範囲のカバーには向かないものの、イベント会場での臨時的な使い方や、住宅地における夜間など限定的な時間帯、さらに駅など都市部のごく狭い範囲ので電波状況がグッと良くなりそうな2.3GHz周波数帯。

今秋発売予定の「iPhone 15」でも対応予定であることから、「駅でも商業施設でも、iPhoneを快適に使いたいならau」と言えるほどの高速通信が今後実現するかもしれません。


◆質疑応答
フリーランス石川:「ダイナミック周波数共用(DSA)」技術はオープン化や他のキャリアが使えるように考えられているのか、それとも各キャリアが用意しなければならないのか。
KDDI:KDDI総合研究所が研究開発を行ったものの、実際運用しているのは中立的な組織なので、たとえば26GHzや40GHzの割り当てが行われた際には現在のシステムが拡張されていくことになるだろう。

Impress関口:DSAが使われる実際の頻度は月間何度くらいなのか、また郊外から運用されていくということだったが都市部で使われることはないのか。
KDDI:利用頻度や時間帯、場所は放送事業者が使うFPUの頻度に依存するので明確な数字は言えない。2026年末までの時点で8300以上の基地局を、都市部を含めて展開する予定。

日本経済新聞 佐藤:8300以上の基地局を整備するときにどれくらい投資費がかかるのか。通信容量のキャパシティはどれくらい上がるのか。
KDDI:324億円を想定している。ミッドバンド帯は100MHz幅だったところから140MHz幅となるため、キャパシティは1.4倍くらい上がる見通し。

フリーランス石野:停波になった時に、その地域が繋がりづらくなったり、通信速度が低下したりすることはないか。接続障害が起きるおそれは。
KDDI:2.3GHz帯は単独で利用されることはなく、4Gへシームレスに使えるようになるため、ユーザーのスマホが全く使えなくなるということはない、停波になった時に速度が低下することはあるが、将来的には他のバンドも5G化する予定のため、より容量を確保しやすくなる。

日経BP堀越:2.3GHz帯を1ヶ月ほど使ってみて、割り当て得だったかどうか。
KDDI:周波数というのは貴重な資源、2.3GHzのような伝播特性の良い周波数帯はメリットしかない。今回は世界初の取り組みを実現しているため、なんとか運用できる段階だと考えている

ライター佐野:4Gと組み合わせとあったが、キャリアアグリゲーションが前提なのか。
KDDI:5G SAの方式なので連携機能などはないが、将来的にキャリアアグリゲーションも考えている。

日経BP金子:ネットユーザーにとって「空いているときはさらに高速に、混んでいるときはそこまで」という理解で良いのか。過剰宣伝になっているのでは。
KDDI:時間的場所的な制約が生まれるので、過剰な期待というよりは、今まで使えなかった所で5Gが使えなかったエリアにおいて、追加で恩恵を受けられるというのがメリットだと思っている。

フリーランス石野:ダイナミック周波数共用の技術で停波するのではなく、電波照射の角度を変えて基地局のエリアを動かすなどの調整で代用できなかったのか。
KDDI:現行、電波法においては定められた規定があり、動的にエリアの範囲を動かすのが難しい。干渉量というのを計算して影響が大きい基地局は停波するというルールになっている。

フリーランス石川:放送事業者が申請せずに緊急で使った場合にはどうなるのか、また緊急に停波したい場合には止められるのか。
KDDI:放送事業者がデータベースを入力するのがトリガーになる仕組みのため、そのようなことが発生した場合は干渉が発生しうる。報道等で緊急で使うという場合に、45分以内に停波するという仕組みがある。

ライター佐野:地方中心に展開と言っていたが、3.7GHzとの違いは?
KDDI:Sub-6という観点では色んな周波数を重ねることを考えているため、どちらかだけ使うということではない。

フリーランス小山:動的にエリアを動かすのが難しいといっていたが、技術的にはできるけれど難しいということなのか。また、日本初としていたが世界に同じようなシステムがあるのか。
KDDI:放送事業者が使う場所や用途によって基地局1期1期の影響力が大きく変わるため、干渉量がリアルタイムに変わるので難しい。アメリカにはCBRSというダイナミック周波数共有システムがある。

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