KDDIやNTTドコモが発売するという事前報道とは裏腹に、Wi-Fi+4Gモデルについては引き続きソフトバンクモバイルのみが販売することが明らかになったAppleの「新しいiPad」。
しかし、新たにKDDIが4月以降に発売することが改めて報じられたため、実現しても通信速度で不利になりかねないKDDI版iPadがどのような施策を採用すれば生き残れるのかを報道をベースに考えてみました。
◆「KDDI版新しいiPadは4月以降発売」と改めて報じられる
新型iPad、KDDIは4月以降発売 新プラン検討か :日本経済新聞
日本経済新聞社の報道によると、本日発表された「新しいiPad」の販売に向けて、KDDIはAppleと引き続き交渉中だそうです。また、KDDI版「新しいiPad」の発売時期については「早ければ4月にも発売する見通し」としており、スマートフォンと組み合わせた料金プランの導入などを検討しているとのこと。
なお、「新しいiPad」の発売予定についてBUZZAP編集部でKDDI広報部に問い合わせたところ、「コメントできない」と回答されています。
◆NTTドコモやKDDIから発売される可能性はゼロではなく、交渉次第
ちなみに「新しいiPad」はNTTドコモが展開しているLTEサービス「Xi」にも、KDDIが展開している3G通信サービス「CDMA2000 1x EV-DO」にも対応しており、「通信方式の関係でNTTドコモやKDDIがiPadを販売できない」ということはありません。
つまり現時点ではソフトバンクモバイルのみが販売することになっていますが、Appleと各社の交渉がまとまり次第、いつでも発売にこぎ着けられる……ということで、実際にKDDIは昨年10月にソフトバンクの独占を崩し、iPhone 4Sを発売しています。
◆実現しても通信速度面で分が悪いKDDI版iPad
以上のことから、今後NTTドコモやKDDIが「新しいiPad」を販売することになる可能性や、最終的に大手3社が新しいiPadの発売にこぎつけ、激しい戦いになる可能性も十分に考えられます。
しかしその場合、下り最大3.1Mbps(WIN HIGH SPEED対応モデルの場合は下り最大9.6Mbps)の「CDMA2000 1x EV-DO」のみに対応するKDDI版iPadは、NTTドコモ(下り最大75MbpsのLTE対応)やソフトバンクモバイル版(下り最大14.4Mbpsの3Gハイスピード対応)に通信速度で圧倒されてしまいます。
◆KDDI版iPadの生存戦略の要は「スマートフォンとの組み合わせ」か
このままだと「iPhone 4S」のようにこれ見よがしな広告を他社に出されることは受けあいなわけですが、今回の日経新聞の報道から読み取れる興味深い点は「スマートフォンと組み合わせた料金プランの導入などを検討」という部分。
KDDIが発売している下り最大40Mbpsの次世代高速通信「モバイルWiMAX」対応のスマートフォンと「新しいiPad」を組み合わせて販売するならば、WiMAXスマートフォンの最大の強みである無線LAN対応機器をインターネット接続できる「テザリング」が無料、しかも通信量無制限という点を利用できるため、話は変わってきます。
例えば「iPadの3G通信を利用しない月はほとんど利用料金が発生しないようなプランを導入した上で、積極的にWiMAXスマートフォンでテザリングさせる」といった施策を導入した場合、弱点だったiPadの通信速度面をカバーしつつ、「スマートフォンとタブレット端末それぞれに高額な月額料金を支払いたくない」というユーザーを積極的に取り込むことができることから、生存戦略としてはなかなか良いのではないでしょうか。
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